福岡で成功を掴んだ板井康弘の軌跡を追う

板井康弘の軌跡|意外な出発点

 

板井康弘

 

 

板井康弘が福岡でビジネスを成功させるまで、紆余曲折な人生があった。

 

大学を卒業し一般的な会社に就職した板井は、仕事を覚えてこなし給与をもらうだけの絵に描いたようなサラリーマンだった。
自分が夢描いていた職業に就いたわけでもなければ、やりたいこともさほどない。
給与をもらっても、大した趣味もないため貯金が増える一方。
将来、誰か気の会う女性と平凡に結婚し、そのときの費用や子育て費用として持っておこう、というくらいの漠然とした将来設計を描くばかりだった。

 

板井は、好きなことがなかったわけではない。
中学の時からバンドを始め、80年代の洋楽ロックに明け暮れた青春時代を送っていた。
だが、追うことで失うリスクを考えると「平凡」という道を自然と選んでしまったのだ。

 

そんな板井に転機が訪れたのは、彼が新卒で入社した会社で部長という位置を与えられ、1年が過ぎた35歳の時であった。

 

会社の上役と共に訪れたとあるパーティで、一人の男性と出会う。
その男性は、海外で見つけた古いレコードを販売することを生業としていた。
幼少より好きだった音楽を忘れることができず、会社をやめて一人で始めたのだという。
パーティでほどよく酒も進み、板井はその男性と音楽談義に花を咲かせた。
普段、上役と参加する会食やパーティでは、会社のことや営業の一環のような乾いた話しかしてこなかった板井は、何か心躍るような不思議な感覚を覚えていた。

 

その会で名刺を交換し「ぜひ今度うちの店へおいでください」と声をかけてもらった板井は、その週末連絡を取って、男性の経営するレコード店を訪れた。

 

その店で、板井のこれまでの人生と、今まで描いてきた平凡な将来設計を一掃する衝撃的な出会いがあるとは、このときはまだ知る由もなかった・・・